光と風を追いかけて四国の旅日記 -

2025年04月29日

東京での待ち合わせから始まった旅

 東京で久しぶりに会った友人。羽田空港で待ち合わせをしました。
友人が「一度行ってみたかった場所があるんだ」と誘ってくれたのが、今回の四国旅行のきっかけでした。
目的地は、香川・愛媛・高知にまたがるいくつかの絶景スポット、四国。
父母ヶ浜、四国カルスト、天空の鳥居、下灘駅、道後温泉、そして松山城。
地図で見ると小さな点のような場所たちが、旅のなかで一つひとつ色づいていく。カメラを片手に、のんびりとした旅のスタートです。


父母ヶ浜 - 光と出会いの海 -  

 香川県の父母ヶ浜に着いたのは、ちょうど夕暮れ時。

潮が引き、海面が鏡のように空を映していました。
空のオレンジと群青の境界がゆっくりと混ざり合い、
世界がひとつに溶けていくような美しさ。

カメラを構えていたとき、ふと背後から声がし、
「もう少し角度を変えてみると、光が柔らかく入りますよ。」

振り返ると、カメラを携えた男性が立っていました。
観光地でよく見かける"撮る人"のひとりかと思ったが、
話してみると、その方はこの場所を何度も撮りに来ている地元の写真家でした。

私がCanon、友人がSONYのカメラを使っているのを見て、
自然光の使い方、被写体との距離、風を読むタイミング――
どれも、これまで意識したことのないような丁寧なアドバイスをくれました。

「写真は、光と同じで一瞬なんですよ。
 でも、その一瞬に気づけるかどうかで、写るものが変わるんです。」

その言葉が、旅の中でずっと残り、光の向こう側にある"何か"を探すように、
私はその日から少しだけ、世界の見え方が変わった気がしました。


四国カルスト - 霧の中の静寂 -

翌日、私たちは四国カルストへ。けれど天気はあいにくの雨。
霧が山肌を包み込み、数メートル先も見えないほどでした。

それでも、友人はハンドルをしっかりと握り、一言も弱音を吐かずに「楽しみだね」と私にポジティブな声をかけて山道を進んでいきました。
ワイパーがリズムを刻む車内に、足場は悪いものの静かな安心感が漂っていたと思います。

山頂に着くと、視界の白の中に、ゆっくりと風車の影が浮かび上がり、音もなく回るその姿は、まるで時間そのものが形を持って動いているようでした。

牛の鳴き声は聞こえなかったけれど、濃霧の中で食べたレストランのカレーの温かさが、雨に濡れた旅もまた、静かで、そして豊かな時間だったと心に残してくれています。


天空の鳥居と下灘駅 - 自然に抱かれて -

雲の切れ間からわずかに光が差し、天空の鳥居の赤が鮮やかに浮かび上がる。
鳥居をくぐる瞬間、風の匂いが変わった気がします。

あの高台からの景色を思い出すと、今でも胸の奥がすっと澄んでいくような気持ちになります。

そして、下灘駅へ。
海と線路だけが並ぶ小さな駅。
電車の音、ただ波と風が、ゆるやかに時間を刻んでいました。

ホームに座って海を眺めながら、次に来る電車を眺めていました。


松山城 - 笑いと静けさのなかで -

最終日は松山城。
友人がコンタクトを忘れてしまい、ふたりして眼鏡姿で「今日はインテリモードだね」と笑った。

歴史の重みを感じる石段を登ると、天守から松山の街が広がっていた。
遠くまで続く屋根の群れと、ゆっくりと流れる午後の光。

その景色を見ながら、旅の数日間に重ねた感情が、静かにほどけていった。
笑いながら撮った写真の数々が、なによりこの旅の"証"になったように思う。


¨̮⃝ Several photos of me taken by a friend ¨̮⃝

 旅とは、ただ知らない場所を訪れることだけではなく、自分の内にある静けさを取り戻す行為なのかもしれない。

父母ヶ浜の光、カルストの霧、下灘駅の潮の香り、松山城を吹き抜ける風。
それぞれの瞬間が、私の中で確かな温度をもって息づいている。

またいつか、あの浜辺の鏡のような水面に映る空を撮りに行こうと決めました。
その時も、変わらず光を探す自分でありたいと思います。

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